- フリーランスエンジニアってどれくらいの経験年数でなれるの?
- 自分がフリーランスエンジニアになったら、月単価はどれくらい貰える?
- そもそもフリーランスエンジニアは実務未経験でも可能?
フリーランスエンジニアになる際、必要な経験年数や単価相場って気になりますよね。
その中で「経験年数が何年で、どれくらい単価が貰えるの?」と思う方もいるでしょう。
ただ、ハッキリお伝えすると「経験年数と単価相場を結びつける考え方」は微妙です。この事実を知ってるかどうかで、実は独立後に稼げる額も大きく異なります。
そこで、この記事では「経験年数と単価相場が比例しない理由」や「単価を上げるために意識すること」まで解説します。最後まで見れば、今後の「単価を上げる戦略」もキチンと決める事ができます。
フリーランスエンジニアの経験年数と単価相場は比例しません
経験年数や単価相場に関係なく「3要素」で単価が決まるからです。
フリーランスの単価を左右する3要素
下記です。
- 商流
- 業界構造
- 交渉力
1つずつ説明します。
商流は浅いほど良い
仕事をする際に、フリーランスが結ぶ契約として2種類あります。
- 直接契約(企業との直接契約)
- 間接契約(第三者を仲介した契約)
単価が高くなりやすいのは「直接契約」です。理由は仲介手数料をかけずに契約できるから。ただし、営業コストがかかり、契約トラブルに巻き込まれやすいのがデメリットです。
一方、間接契約とは主にエージェントを介した契約のこと。エージェント経由だと「商流」が浅いかどうかが重要です。
商流とは簡単に言えば「契約時に、エージェントと企業間でどれだけの会社が存在するか?」ということ。商流は下記2種類に分かれます。
- エンド直請け(企業とエージェントが直接取引する状態)
- 1次請け、2次請けetc.(企業とエージェントの間に複数の企業が入り取引する状態)
エンド直請けであれば問題ないですが、1次2次と契約に関わる会社が多くなるほど手元に残るお金は少なくなります。
下記の図を見てください。いわゆる「多重下請け構造」ですね。(下記は2次請けの状態)
クライアント(100万円で発注)
↓
元請会社(手数料10万円)・・・1次請け
↓
SES企業etc.(手数料10万円)・・・2次請け
↓
エージェント(手数料10万円)
↓
あなた(70万円)
※上記でエンド直請けの場合、報酬はエージェント手数料10万円のみ引いた90万円です
図から分かるように、契約時に複数の会社が関わると、報酬面含めてデメリットしかないです。なるべくエンド直請けの「商流が浅い案件」を選びましょう。
また、フリーランスの働き方に慣れてきたら、企業に直接営業&契約することも検討しましょう。
儲かる業界に位置する企業ほど予算が大きい
フリーランスエンジニアに限らず言えますが「どの業界で働くか?」で得られる収入は全く異なります。それほど業界選定は重要だということ。
では、儲かる業界はどこか?というと下記。
金融、医療、人材、不動産、保険
どれも、法律などの規制で競合の参入障壁が高かったり、扱う商材の利益率が格段に良い業界ばかり。私の経験上、上記の業界に位置する企業の案件単価は比較的かなり高い印象があります。
また、私が今まで案件を受けてきて「特に案件単価が高かった企業」は、儲かる業界に位置する上に、下記どちらかのケースがほとんどでした。
- VCなどから大型の資金調達をしたスタートアップ
- 大手上場企業
案件を探す際は、上記のような特徴で企業を絞り込むと開発費などの予算上限が比較的高く、その分報酬も高単価になりやすいです。
■補足:資金調達済みのスタートアップの情報はどこから得るの?
基本的にVC(ベンチャーキャピタル)のブログなどを見ればOK。
特に「BRIDGE」は資金調達のニュースを多く取り扱っており、私もたまにチェックしています。
交渉力があるからこそ価値を高く売れる
エージェント利用を前提に考えて「交渉力」を要素分解すると、下記2つに分かれます。
- エージェントの「企業に対する交渉力」
- あなたの「エージェントに対する交渉力」
交渉力のあるエージェントとは、言い換えれば「好条件を提示してくれるエージェント」です。
※どのエージェントを選べば良いかは「【厳選】フリーランスエンジニア向けエージェントおすすめ3社【登録必須です】」で解説しています
また、あなたもエージェントに対して交渉する立場にあることを忘れないでください。
エージェント利用時は、下記のポイントについてエージェントとしっかり交渉しましょう。
- 報酬
- 稼働時間
- 細かい契約内容
上記3点を意識せずに交渉すると、ほぼ確実に「あなたが損する契約内容」となるので注意が必要です。
具体的な報酬・稼働時間についての交渉方法は、後述の希望の単価・稼働時間を決め、ハッキリ伝えるをご覧ください。
また、細かい契約内容に関する注意点は現役でも知らない「フリーランスエンジニアが管理すべき3つのリスク」で解説しています。
【補足】未経験でフリーランスエンジニアになるのはオススメしない
もし、あなたが実務未経験でフリーランスエンジニアになろうとしているなら、オススメしません。
理由は3つです。
- そもそも面談に辿り着けない
- 低単価の条件を飲まざるをえない
- 短期間で退場(契約打ち切り)となる確率が高い
実務未経験の人は「経歴書の選考時点で見送り」になる場合がほとんど。つまり面談まで辿り着きません。
また、無事案件獲得できたとしても、低単価な条件を飲まざるをえなかったり、スキル不足で契約を短期間で切られる可能性が高いです。
実際に私がいた現場でスキル不足のため、たった2か月間で退場したフリーランスを見た事があります。
したがって、未経験の立場なら、不利な条件でフリーランスになるより、一度転職してフリーランスになった方が良いです。
» フリーランスエンジニアになれる技術力レベルとは【A:普通でOK】
40代フリーランスと実務経験1年弱で単価がほぼ同じだった話
以前、私が知り合った40代のフリーランスの方と話した際、報酬単価が自分と同じ事がありました。私は1年半ほどの実務経験、その方は20年以上の実務経験を持っていたにもかかわらず、です。
冷静に考えれば分かりますが、よく言われている「経験年数と単価相場は比例する」のであれば、40代のフリーランスの方はもっと貰って良いはず。でも、実際そうではありませんでした。
ここから分かるのは、フリーランスは技術力”だけ”高ければ稼げるわけではないということ。もちろん、高い技術力は収入を上げる上では重要。でも”技術力が全てではない”と私は確信しましたね。
» フリーランスエンジニアになる際「実務経験」を気にすべきでない理由
フリーランスエンジニア1年目で40万円〜50万円は安すぎ
以前、あるサイトで「フリーランスエンジニア1年目は40万円〜50万円が相場」と書いてありました。これ、さすがに安過ぎですね。
実際、私はフリーランスになって初受注した案件で70万円ほど貰っていました。
フリーランス1年目で40万円〜50万円は確実に案件獲得のやり方が間違っています。後述しますが、ネットにある相場は99%あてにならないので参考程度に聞き流す方が良いです。
»【初心者向け】初めてフリーランスエンジニアになる時の「最初の仕事の探し方」
平均単価相場に引きずられて自分の価値を決めない
たまに「フリーランス2年目は大体月〇〇万円!」と平均単価に関して解説する記事・動画をみかけますが、相場はぶっちゃけ参考になりません。というより、信じすぎない方が良い。
心理学で「アンカリング効果」というものがあります。最初に見た数字によって、その後に見る数字の認識が変わることを指します。実はアンカリング効果は「フリーランスの単価を考える時」にもハマりがちです。
フリーランスエンジニアの絶対的な単価基準などそもそも存在しない
例えば「フリーランスで実務経験2年は平均65万円です!」と言われたら、その時点で実務経験から「自分の報酬は安いか、高いか」を考えますよね?
※実はこの時点でアンカリング効果にかかってます
でも、よく考えてください。その65万円の数字に根拠ってあるのでしょうか?
…答えは「ない」です。
大抵平均データで出される「65万円」のような数字は「極端に報酬が高い人」と「極端に報酬が低い人」の単価データが混ざり合って出た「偶然の値」だからです。当然、それは調査対象の層・人数によって平均値は異なります。
要するに「平均データはいくらでも操作可能」だということ。
間違った平均データを信じると、その基準をもとに「平均がこんぐらいだから〜」と無意識に自分の価値を低く見積もって案件獲得することになります。気付かないうちに自分の価値に見合わない案件ばかり受けてしまうのです。
変に自分を安売りしないためには「そもそも単価相場などの基準はなく、単価は自分で決めるものだ」という意識を強く持ちましょう。
フリーランスエンジニアが単価を上げるために意識すべきこと
経験年数に関係なく、いちはやく単価を上げるには4つのことを意識しましょう。
単価を上げる4つのポイント
- 最新技術より「需要のある技術」を身につける
- 希望の単価・稼働時間を決め、ハッキリ伝える
- 付き合うエージェントを見極める
- 技術以外のスキルも身につける
最新技術より「需要のある技術」を身につける
案件を見ていくと、最新の技術は単価が高い傾向にあります。ここで勘違いしがちなのが「最新の技術=稼げる技術」だと思い込んでしまうこと。
実際に正しいのは「需要のある技術=稼げる技術」です。
需要が無ければ、誰もお金を払いません。つまり、需要がない最新技術を学んだところで、収入は上がらないということ。
フリーランスは利益に繋がる事をしなければなりません。
だからこそ習得する技術も、最新技術かどうかの前に「需要があるか?」もしっかり見極めて考えましょう。
需要のある最新技術を見極める方法
ちなみに「需要のある最新技術はどう見つけるの?」と思うかもしれませんが「案件一括検索サービス」で調べればOKです。
案件一括検索サービスとは、複数あるフリーランスエージェントの案件をまとめて検索できるサービスのこと。有名なのは「フリーランススタート」「エンジニアスタイル東京」などですね。
なぜ案件一括検索サービスを使うかというと、対象の最新技術で「どれほど単価獲得できるか?」が一緒に分かるから。「単価の高さ」は需要の大きさを意味します。
対象の最新技術を使う案件を検索し、単価が高ければ「技術の需要は高く」、単価が低ければ「技術の需要は低い」と思ってください。
希望の単価・稼働時間を決め、ハッキリ伝える
エージェント利用の際は、あなた自身で単価や稼働時間の条件を決め、ハッキリ伝えましょう。
自分なりの基準を決めて交渉しなければ、当然条件の良い案件獲得はできません。
ここで「自分はこんなに要求していいのかな…」と交渉をためらうかもしれません。でも慣れないうちはみんなそう思うものです。私もそうだったので。
でも、ここは少し勇気を出しましょう。フリーランスにおいて交渉から逃げ続けても、その先に待つのは「あなた自身が不幸になる未来」だけです。
また、私の経験上、今まで見てきたエンジニアの中で「自分を低く見積もる」方は多いです。
私は「ちょっと要求しずぎなんじゃないか…」とためらうくらいの交渉で、やっとその人の適正対価を受け取れるとさえ思います。
忘れがちですが、
あなたが思っている以上に、あなたの価値って高い
です。
ただ、
あなたの価値は「あなた自身で決め、認める」からこそ、価値を最大限発揮できる
のも事実。
あなた自身の価値に見合う対価を受け取るためにも、自分の価値を認め、譲れない基準を決めて交渉するようにしましょう。
※交渉経験があまりない方は「武器としての交渉思考」という本を読むのがオススメ。「交渉って何?」というところから「具体的な交渉時のポイント」まで分かりやすく解説されています。
付き合うエージェントを見極める
「フリーランスエージェントはどこも変わらない」という意見もありますが、これは間違いです。
実は付き合うエージェントを変えるだけで、10〜30万円以上単価が変わる事もあります。
なぜなら、各社で「仲介手数料」が違うから。
適当なエージェント選びをすると、大きく損することになるので注意してください。
損しないフリーランスエージェントの選び方に関しては「【必見】フリーランスエンジニアエージェント4つの比較ポイント|知らないと搾取確定」で詳しく解説しているので、併せて確認しておきましょう。
エージェントは必ず複数社で見積もりをとること
異なる不動産会社が同じ物件を紹介するように、異なるエージェントで同じ案件を紹介されるのはよくあること。世の中にある募集案件をただエージェントが紹介しているだけなので、当然ですね。
それを踏まえてあなたがやるべきなのは「複数のエージェント利用で見積もりをとること」です。見積もりをとり、比較して初めて「どの案件が一番ベストか?」が分かります。
選択肢が多いほど、案件比較がしやすくなり、ベストな案件を見つけられる可能性が高まります。「複数エージェントを利用した見積もり」は必ず行うようにしましょう。
» 【ピンハネ防止】フリーランスエージェントは絶対に複数利用すべき理由
技術以外のスキルも身につける
「フリーランスエンジニアは技術を売る仕事」
…というのは半分正解で半分間違い。
フリーランスエンジニアで”技術だけ”で戦うのは長期的に激しい競争が予想されます。
技術だけで戦うのは、例えるなら「学力という1つの分野」で地方の進学校トップだった成績の生徒が東大に行った途端にトップを獲るのが難しくなるのと一緒。
それだけ1つの分野で勝負し続けるのは難しいのです。
では、あなたがすべきことは何か?
それは、技術力以外で「競争優位性」をつけて「戦いの土俵自体をズラす」こと。競争優位性とは一言で言えば「競合にはない強み」です。
ただ、その強みは「開発時に関連し、需要があるもの」でなければなりません。
エンジニアにおける競争優位性の例
例えば、私は主にフロントエンドエンジニアとして働いていますが、よくサービスの登録率を上げる上での問題に取り組む事が多々あります。
企業によって異なりますが、登録率などの改善はマーケティングチームの担当である事が多いです。ここで私はあえて、機能開発の前にWebマーケティングの視点から色々な提案をする事があります。
例えば、下記。
- 機能追加だけでなく、ユーザーに伝わる文言の見直しも図る
- 機能開発ではなく、画面の導線設計を見直す
普通はマーケティングチームが行うところを、あえて自ら提案していく。実はここが、競争優位性を生み出すポイントでもあります。
そもそも競争優位性は言い方を変えると、
普通は〇〇なのに、実は〇〇なこと
です。
- エンジニアができて当たり前なこと→競争優位性が生まれにくい
- エンジニアなのに、実はできること→競争優位性が生まれやすい
上記を意識しながら、競争優位性をつけることが、エンジニアの生存戦略の1つだと言えます。
エンジニアという職種にこだわりすぎると本質を見失う
1つの分野に特化して伸ばすのは、プロフェッショナルとしては正解。
ただ、1つだけデメリットがあります。
それは「解決策も専門分野から考えがち」ということ。これはエンジニアに限らず、どの職種でも同じ事が言えます。
- 弁護士は「法律的な解決策」を考える
- 医師は「医療的な解決策」を考える
- エンジニアは「技術的な解決策」を考える
時には「自分はエンジニアだ」という自覚を持ち過ぎない事も大事。顧客の根本的問題が「技術面」以外の時もあるからです。
先入観を持ち過ぎず、技術面以外からも解決策を提示することも、エンジニア同士で競わないで済む1つのコツですね。
フリーランスエンジニアは経験年数・単価相場を気にしなくていい
何度もお伝えしますが、フリーランスエンジニアの経験年数と単価相場は比例しません。
単価は経験年数に関係なく「商流×業界構造×交渉力」の3要素でほぼ決まるからです。
各要素で大事なポイントは下記。
3要素それぞれで重要なポイント
- なるべく浅い商流の案件を選ぶこと
- 儲かる業界構造に位置する企業は比較的単価が高い
- 交渉力があるから価値を高く売れる
また、経験年数や単価相場を気にするなら、もっと効率的に単価を上げる事に集中しましょう。
単価を上げるポイントは4つありました。
単価を上げる4つのポイント
- 最新技術より「需要のある技術」を身につける
- 希望の単価・稼働時間を決め、ハッキリ伝える
- 付き合うエージェントを見極める
- 技術以外のスキルも身につける
「努力の方向性」と「考え方」さえ正しければ、相場に関係なく単価は上がります。
いますぐ当記事を参考にして、1つでも多く単価を上げる行動を積み重ねていきましょう。
カンレン:稼ぎ続けるフリーランスエンジニアに必要な〇つのスキル【全てが揃った時収入は爆上げする】