フリーランスになるために色々手続きを進めたいけど、何から手をつけていいか分からない…。
でも退職前の今だからこそ、やれることはやっておきたいなぁ…。
独立準備のために色々調べると「あれも、これも」と様々なやるべきことが出てきて焦りますよね。
でも、現役フリーランスの私から言わせると、
「その手続きって、実はいらなくない?」
「逆にそれはやっておかないとヤバくない?」
と言いたくなることも多数紹介されていたりします。
あなたもそうだと思いますが、面倒な手続きはさっさと終わらせて本業に集中したいのが本音でしょう。
そこで今回は独立準備でやるべきことを余計なものをザックリ削ぎ落とし、最短最速で終わらせられるよう徹底解説していきます。
経験談を交えながら退職前後の段階に分けてお伝えするので、退職後の動きまでも事前に知ることができます。
紹介する手順に沿って準備を進め、独立をスムーズに実現させましょう。
【これで安心】フリーランスエンジニアで独立時に必要な手続きを全てまとめました
まず独立時に必要な手続きを退職前後に切り分けて、確認してみましょう。
退職前にやっておくべきこと
退職前にやるべきことを決める上で重要なポイントは下記2つ。
①会社員としての信用を使う必要があること
②1秒でもはやくやることでメリットがあるもの
これらのポイントと私自身の経験からやっておいた方が良いものは主に5つあります。
- 事業用の銀行口座開設・カードの作成
- 税務の勉強
- 貯金
- 引っ越し
- 固定費の削減
事業用の銀行口座開設・カードの作成
まず銀行口座やカードは基本的に会社員の信用があった方が有利なため、優先的に作っておきましょう。
ここで「今使っている口座やカードをそのまま使うのはダメなの?」と思うかもしれません。
結論としてはYESです。
厳密に言うと、そのまま使ってもいいのですが長い目で見たらプライベート・事業用で銀行口座とカードは使い分けておいた方がメリットがあります。
口座・カードの作成に関しては、下記の記事でそれぞれ解説しています。
税務の勉強
フリーランスとして活動する上で、税金については最低限知っておくべき。
「税務の勉強なんて独立して稼いでからでいいよ」という意見も中にはあるのですが、私は独立前のタイミングだからこそ勉強すべきだと思っています。
というのも、独立前から知っておくと税金面で有利なこともあるからです。(例えば、開業準備費などがそう。詳しくは調べてみてください。)
もちろん勉強といっても試験前のようにガッツリ勉強する必要はなく、スキマ時間に本を何冊か読むだけでOKです。
ちなみに税務の基本を勉強するなら下記2冊がオススメ。
最低でもこれらの本に書いてある内容は頭に入れておくと後々「やっぱり知っておいて良かった」というタイミングが来るはずです。
貯金
独立前は目安として半年分の生活費を持っておきましょう。
厳密には、案件探し〜入金までのサイクルが大体2〜3ヶ月なので最低限3ヶ月分の生活費だけで良いのですが、余裕を持ってあえて半年分としています。
とはいえ、私も独立して数年経ちますが、実は半年分の生活費用の貯金を使ったことはあまりありません。
貯金は最低限にとどめて、余ったお金を自己投資に回し自分の価値を高めることも忘れないようにしましょう。
引っ越し
カード・銀行口座の作成と同じように、会社員の信用を使って有利に行えるのが「引っ越し」です。
では、なぜ独立前の忙しい時期にわざわざ引っ越しすべきなのか?
売上がない時点では、毎月の固定費が少ない方がより多くの利益・精神的余裕が生まれるからです。(低い固定費の大切さは独立後に気付くことになります)
※実はこれら以外にも理由はあるのですが詳しくは【警告】フリーランスエンジニアは家賃を安くしておけ!【固定費は悪】をご覧ください
独立後に「もっと安いところに住んでおけば良かった…」と後悔しないためにも、今のうちから時間がかかる物件選びも少しずつ始めておきましょう。
固定費の削減
固定費として一番大きなものは家賃ですが、それ以外で地味に大きなものが下記です。
- 通信費
- 保険
- サブスクサービス
これらは見直すといっても数時間で済むため、はやいうちからやっておくべき。
1日でもはやいほど、無駄にお金を支払わずに済みますからね。
余談ですが、私は通信費を削りすぎて通信速度が遅くなり、生産性が落ちていた時期がありました(オンライン会議で全く繋がらないみたいな感じです笑)。このように何でもかんでも固定費を削るのではなく、仕事に必要なものなどは投資としてキチンとお金を払いましょう。でないと本末転倒です。
退職後にやるべきこと
実は退職後にやるべきことはたった3つしかありません。
- 開業届・青色申告承認申請書の提出
- 国民年金の加入手続き
- 国民健康保険の加入手続き
開業届・青色申告承認申請書の提出
開業届とは、その名の通り開業したら出す届出のこと。
開業届を出すタイミングは開業してから1ヶ月以内と決まっています。
※ちなみに開業届を出す際、開業日前に出すことはできないので注意してください
届出をする際に記入する開業日は「独立後に仕事をした月初の日にち」を指定すればOKです。 (例:フリーランスとして3月から新しい案件に参画した場合→開業日は3月1日)
※開業届の提出方法についてはフリーランスエンジニアとして開業届を出す際の書き方・提出の流れをご覧ください
また、開業届と必ずセットで出すのが青色申告承認申請書です。
青色申告承認申請書とは確定申告の際、白色申告・青色申告と2種類の申告方法のうち、青色申告を選ぶ際に提出する書類のことです。(書類は1回申請すれば翌年以降に申請する必要はありません)
「白色申告ではなく青色申告を選ぶのはなぜ?」と思うかもしれませんが、一言でいえば「税金が安くなる」からです。(そのかわり複式簿記という形式で確定申告を行うため少し面倒ですが、会計ソフトを使えばカンタンにできます)
ここまで聞いて「うわ〜、わざわざ書類を書いて税務署に持っていくのはダルイな〜」と思ったかもしれません。
安心してください。開業届はオンライン申請もできます。
私は無料で使えるfreee開業を使いましたが、オンラインであっという間に開業届・青色申告承認申請書を両方申請できました。使い方も超カンタンなので、こだわりがなければfreee開業を使ってサクッと申請を終わらせましょう。
国民年金の加入手続き
フリーランスになった時点で、会社員のみ入れる厚生年金の加入資格は喪失します。
この資格喪失手続きは会社側が行いますが、国民年金への切り替えはあなた自身で行わなければなりません。
この国民年金の切り替え手続きですが、原則退職日から14日以内にするように決められています。そのため、手続きに必要な退職証明書などは前もって会社から貰っておきましょう。
国民健康保険の加入手続き
フリーランスの場合、健康保険を国民健康保険へ切り替える必要があります。
ただしここで国民健康保険以外に、実は「任意継続保険」に入るという選択肢もあります。これは退職した会社の健康保険を2年間継続できるというもの。(支払う保険料は会社員時代に支払っていた保険料の2倍になります)
これらを踏まえて「どっちを選べば良いの?」と思ったかもしれません。
その答えは「独立後に会社員時代の収入を超えるかどうか?」で決まります。
例えば、会社員時代の月収が30万円で独立後の月収が80万円まで上がった場合、各保険の保険料は下記のように計算されます。
国民健康保険
→「独立後の収入」である月収80万円をもとに保険金額を計算
任意継続保険
→「独立前の収入」である月収30万円をもとに保険金額を計算
基本的に独立後は収入が上がりますよね。その場合、独立後に収入が上がっても独立前の収入ベースで保険料が計算される「任意継続保険」の方が基本的におトクということになります。
※ここは会社員時代の収入によってどちらの保険を選ぶべきか変わるので、改めて計算して最終的に選ぶ保険を決めてください
個人的に必要ないと思う独立の手続き
ここまでは実際にやるべきことを順番に解説してきました。
一方で、独立の準備で色々調べていくと「それ必要ないでしょ」と思うものが紹介されています。
そこで、ここからは反対に「独立後にやる必要がないもの」を紹介します。
- SNSの開設
- 仕事用の名刺・メールアドレスの作成
- 人脈づくり
- iDeco・小規模企業共済
SNSの開設
フリーランス界隈ではSNS経由で仕事をとる人もいますが、最初の時点では必要ありません。
SNSを使わずともエージェントに依頼すれば仕事は獲得できるからです。
» 【初心者向け】初めてフリーランスエンジニアになる時の「最初の仕事の探し方」
もちろん「独立直後は」という前提なので、SNSアカウントを育てて集客経路を増やすのは長期的にやってもいいと思います。
仕事用の名刺・メールアドレスの作成
まず仕事用の名刺は使わないですし、そもそも名刺自体使いませんね。
メールアドレスもぶっちゃけプライベート用のみで問題ありません。
人脈づくり
これはSNSと同様で、独立当初は必要ないものに該当します。
そもそも人脈がなくとも仕事は獲れますし、あなた自身に実力や実績がない限り、レベルが上の人と出会える確率は低いです。(経験値がないとその人のレベルさえ見分けられないというのもあります)
まずは人脈を築く前に、自分のスキル・経験を高めることに時間を使いましょう。
あなたの価値が高まって初めて有望な人脈を手に入れることができます。
iDeco・小規模企業共済
独立時にiDecoや小規模企業共済をしきりにオススメするサイトもありますが、私はオススメしません。
これらは所得控除として使えて税金面で有利とされていますが、所得控除を増やしても実際は節税としてのインパクトは薄いからです。(安くなる所得税・住民税はそもそも他の税項目と比べて元から比較的安いです)
※ちなみに個人事業主が税金を安くしたいなら、経費を多く支払うしかありません。
また、各制度は60歳以降じゃないと基本的に貰えず、事実上資金凍結されているようなもの。もちろんこれらは運用リターンとして将来何%か返ってきますが、もっとリターンが見込める運用方法がある中で節税だけを理由に選ぶのは資金運用の効率から考えて合理的ではない、と思うのが私の結論ですね。
※注意:ここに関しては、最終的にどうするかは改めてあなた自身でおトクかどうか改めて計算して判断してくださいね
独立時の手続きでよくある質問
ここからは独立前に自分も感じていた疑問も踏まえて、よくある質問について答えていきます。
①そもそも今独立すべきなのでしょうか?
②退職手続きと案件探しはどのように進めればいいのでしょうか?
③民間保険には入るべきでしょうか?
①そもそも今独立すべきなのでしょうか?
A:実務経験が1年以上あれば、今独立すべきです。
なぜなら、実務経験1年以上であれば案件探しで困ることは基本的にないから。
ただしもし今あなたが未経験なら、会社員として1年実務経験を積んでから独立する方が良いです。(未経験だと書類審査で基本的に落ちますし、基本的に獲れる案件の条件はあまり良くないものが多いからです)
» フリーランスエンジニアになるベストな独立タイミングはいつ?【経験談を語る】
②退職手続きと案件探しはどのように進めればいいのでしょうか?
A:一番確実なのは案件が決まってから、退職届を出すやり方です。
仕事が決まっていれば、退職後に無職となるリスクをゼロにできますからね。
と、ここである疑問を持つかもしれません。
それは「退職のタイミングが予想以上にズレた場合「退職日と参画日」が前後するのでは?」という点。つまり、せっかく案件が決まっても働き始める日が「退職前」だった場合、参画できないんじゃないの?という疑問ですね。
結論言うと「退職届を出した後に、案件探しをスタートしても遅くはない」です。(案件探しは大体1〜2週間で決まるため、退職までの期間が1ヶ月だとしても問題ないからです)
※私も独立時は退職届を出した後に案件探しを始めて問題ありませんでした
もちろんスムーズに退職できる職場なら、案件探しをして仕事が決まってから退職手続きをするのがベストです。でも、必ずその手順を踏む必要はないので安心してください。
» 【初心者向け】初めてフリーランスエンジニアになる時の「最初の仕事の探し方」
③民間保険には入るべきでしょうか?
A:健康保険に関しては入らなくていいですが、入った方がいい保険も一部あります。
独立後に入る国民健康保険では、高額療養費制度など手厚くカバーされているからです。
ただし、業務中の意図しない「納期遅延・情報漏洩」などによる損害賠償保険などは最低限入っておくと安心ですね。(健康保険とは別で損害賠償保険などは自分で入る必要があり、後で「入っておけば良かった…」と後悔しても遅いからです)
ちなみにフリーランスの損害賠償保険では「FREENANCE」が有名ですが、フリーナンス経由で銀行口座を開いて使うと、無料で損害賠償保険がついてきます。(FREENANCEの口座開設は無料なので、タダで保険利用できます)
こうした便利なサービスはあまり知られていませんが、タダで使えるものはどんどん使い倒した方がおトクです。
独立時に必要な手続きはできるところから今すぐやるべし
独立時にやるべきことは退職前後で大きく分かれており、今すぐあなたができることもありました。
やるべきことをまとめると下記の通りです。
退職前にやっておくべきこと
- 事業用の銀行口座開設・カードの作成
- 税務の勉強
- 貯金
- 引っ越し
- 固定費の削減
退職後にやっておくべきこと
- 開業届・青色申告承認申請書の提出
- 国民年金への加入手続き
- 国民健康保険の加入手続き
また、独立時の手続きを進める中で、同時にエージェントなども活用して案件探しを行っていきましょう。
退職前の段階でいちはやく案件を獲得しておけば、安心して退職手続きを進めていけるはずです。